前回の室内編の内容を踏まえ、この日は大原の金毘羅山で実践編を開催しました。
猛暑日にもかかわらず、11名の受講者の方にご参加いただけました。
絵馬堂前にて各種ギアの装着とチェックを済ませた後、受講者の皆さんに2班に分かれていただきました。A班は、所属する山岳会でのリーダー・リーダー候補者、または3,000m級のアルプス志願者、B班は、基本的な歩行技術の向上を目指す初級者です。個々の山歴や希望をお聞きした後、A班6名、B班5名に分かれてこの日のメニューに取り掛かりました。
まずは、Y懸尾根取り付き手前の斜面を使って、歩行の基本の確認です。
浮石が転がっている箇所、倒木が重なっている箇所など、できるだけ障害物のある悪場を選んで歩いてみます。不整地を歩くときは歩幅を小さくすることが基本。歩幅を小さくすることでフラット・フッティングができ、歩行や姿勢が安定します。
室内編で教わったキーワード、登りと下りでの“重心移動”、“静荷重・静移動”を意識しながら、何度も繰り返し歩きました。急斜面での登りと下りでは、とりわけ、じんわり重心を移すことを心掛けましょう。意識して歩くことで、疲労の軽減にもつながります。
自分が先頭に立って歩くときには、ルート・ファインディング(ルーファイ)も重要です。
歩行中の視点のポイントは3つ。10~20m先、自分がこれから歩く方向・目標物を確認すること、次に、数m先の歩きやすそうな場所、効率的に歩けそうなラインを見極めること、そして足元のフラット・フッティングがしやすそうな、できるだけ安定した足の置き場を探すことです。受講者の方にも順に先頭を歩いていただきました。ベテランの後ろについて歩くだけでは歩行の技術は上達しません。できるだけ、自分の力でいろんな判断をしながら歩く訓練を積んでください。
ひと通り、縦横無尽に歩行練習を行ってから、Y懸沢の濡れた岩場を抜けて、クライミングのゲレンデである“ピラミッド”に向かいました。Y懸沢は岩がゴロゴロ堆積していて、苔むしていたり、ヌメッている箇所もあります。足を滑らせないよう、適切な足の置き場を探して、フラット・フッティングと重心移動を意識しながら進みます。ヌルヌルした一枚岩では、右足から左足にじんわり重心を移動させて突破。皆さん、上手な身のこなし方をされていました。
ピラミッドに到着すると、ソロのクライマーが練習中であったため、少し下がった急斜面を使って、安全に難所を通過する方法として縦方向に固定ロープを張りました。ここではリード&フォローの形で、中間支点を固定せず、フリクションヒッチであるプルージックを使って通過するシステムを体験してもらいました。その後、登ってきたY懸沢を足の置き場に注意しながら下りました。小休憩した後、今度は、Y懸尾根取り付きの岩場を使って、3点支持(確保)の確認です。両手両足のうち、常に3点で体を支え、残りの1点だけを動かして次のホールドやスタンスを探します。上半身を岩から離すことでより良いホールドやスタンスを見つけられます。受講者の中には、このY懸尾根取り付きの岩場を登るのが初めての方もおられました。あえてロープ確保はせずに、登りと下りを慎重に練習してもらいました。
最後に、ピラミッドで実演した固定ロープの横移動、トラバース編を実施しました。
進行方向に向かって左側が山、右側が崖という想定で、まず、リードが中間支点にランナーを取りながら進みます。フォローは自己確保をしたうえで、そのビレイ。リードは終了点に着いたらロープを固定。次に、補助ロープにフリクションヒッチコードでプルージックを作ってもらい、受講者に順に通過してもらいました。中間のランナーでは、カラビナのゲートを開閉してプルージックを通すだけです。その後、中間支点をクローブヒッチやバタフライノットで固定しながらリードが終了点まで進み、受講者にはスリング&カラビナの掛け替えで通過してもらう方法も体験してもらいました。実際に、崖側に滑落した場合、両者の方法で補助ロープがどれくらい伸びるのか、スタッフが実演して見せてくれました。
15:15講習会終了。絵馬堂前に戻って両班が揃ったところで、班ごとに質疑応答、今日の振り返りの時間を設けました。猛暑の中、皆さん汗をかきながら、水分や行動力を適宜補給しながら、熱心に練習してくださいました。何かしら、学びや気づきを得られたとしたら、今後の山行においても、それを意識しながらステップアップしていただけたらと思います。ご参加の皆さま、ありがとうございました。














