【レポート】真冬の雪上訓練 〜赤坂山〜

【日程】2025/02/08(土)~2025/02/09(日)
【参加者】10名
【コース】1日目:マキノ高原キャンプ場〜赤坂山登山口周辺〜マキノ高原キャンプ場(泊)
2日目:マキノ高原キャンプ場〜赤坂山登山口〜武奈の木平〜粟柄越〜赤坂山〜武奈の木平〜赤坂山登山口〜マキノ高原キャンプ場
【記者】鬼軍曹

 今回良かったことはなんといっても雪があったことだ。「真冬の雪上訓練」と銘打っているのだから雪がなくては話にならない。1月19日に下見に来た際にはあまりの雪の少なさに愕然としていたが、今回寒波が到来したことによりがぜん雪山の様相をなしたことからほっと胸をなでおろした。と同時に開催当日もそれなりの降雪があり、参加者全員車で現地に向かうと聞いていたが無事に到着できるかが気にかかり心配の種は尽きない。ともあれ多少の遅れはあったものの全員が現地入りでき無事開催の運びとなった。

 初日の予定ではテント設営は夕刻としていたが、降雪を当て込んだ他のキャンパーの予約がいっぱいであると聞き及び急遽予定を変更して第一にテントを設営しそれから出発することとした。

参加者の中には雪山でのテント泊の経験がない者もいるため雪の踏み固めや竹ペグによる固定方法から説明する。今回テントは各山岳会の協力により大型のものが提供されたため男女別かつ経験のある者(A班)と浅い者(B班)と各々個別に設営することができたのは何よりである。

 早速スキー場を出発し登山道手前の斜面にて各種雪山技能の説明に入る。なんといっても基本となるのが歩行の足運び。これが12月のアイゼントレーニングでも気にかかった点として、登山の歩行はフラットフッティングが基本であるが、平なところを歩くときはつま先方向は並行でも斜面になれば足裏全体を接地させるためにはおのずとつま先はV字状に開いていくものなのだがこれがなかなか自然にするのは難しく、女性は特に苦手なところと感じた。歩行技能については雪山特有のキックステップや雪の変形を考慮した靴底のエッジを利用した足運びなども練習してもらう。この他雪上でのアイゼンの脱着及び注意点の解説、アイゼン歩行の実地、ピッケルワークや特に方向転換時のピッケルの持ち替え、打替さらに耐風姿勢の取り方なども実地訓練しテントに戻ることとした。

 テン場では冬季のテントへの出入りの仕方からやっていく。雪をブラシで落とし登山靴のまま入る。テントの中では模擬的に雪から水を作ってみる。ジェットボイルを使用して1リットルの水を作るのにどれくらい時間を要するかを体感してもらうためだ。どれくらいガスが必要であるかだとか、ガスも寒冷地用のものを用意しておかねばならないことや、特にテントのレインフライは空気を通さないため降雪激しい本日のような天候の場合は直接外気を取り入れて換気してやらないと一酸化炭素中毒になる可能性が大きいといった命にかかわるようなことについては重々念を押すように説明していった。そのまま夕食に移り差し入れていただいたビールなど飲みながら山談議に花を咲かせ20:00過ぎには就寝する。

 2日目は本番に近いシュチエーションということで4:00に起床する。早速朝食をとるため火をおこすのだが予想していた通りフライシート下部の隙間は完全に雪で閉ざされておりそのまま火気を使用しておれば不測の事態も起こりえるといった状況であったが、開会時あるいはテント内でもこれについては重々解説したためそのような事態は起きなかった。食後は早速テント撤収にかかるが積雪が30㎝ほどもあったにもかかわらず割合スムーズに撤収できた。既に1昼夜共に過ごしたことにより即席ながらチームワークが感じ取れる。テントを撤収したのち昨日同様A班、B班に分かれ赤坂山山頂を目指す行程の中で各種の訓練を実施する。

 本日も昨日に引き続き断続的に降雪はつづきじつに雪山らしい天気であったが気温としては夜間の最低気温で-4℃ほどであるため厳寒を味わうにはほど遠い。ただし歩行の際の沈み込みは昨日にもまして大きくなっているため早速ワカンを使用する。すると昨日懸念していた内股女子もややV字状につま先が開いている。ワカン歩行時は自然と足と足の間隔が開くためこれが功を奏したのかもしれない。

 武奈の木平まで来たところで急斜面を利用して、A班B班別れて初期制動並びに滑落停止訓練を実施する。急斜面とはいえ降雪間もない雪により、ふかふかでそのままでは滑らないためヒップそりを使用して圧雪する。雪上に2ルート圧雪面を作りそこで滑落停止訓練を実施する。この際には体を回転させるときにブレードが顔にあたってケガをしないよう十分注意喚起する。みな繰り返すうちにそれなりに様になってくるが、本来であればもっとクラストした急斜面でやらせてあげたいものだとも感じる。

 この時点で予定していた講習内容に漏れがないか点検してみる。というのも前回金毘羅で実施したアイゼントレでは耐風姿勢の実施がもれていたため今回はそういったことのないよう確認しておくべきと心に留めていたからである。開催要項を確認してみるとスノーシェルターの項目だけがまだ残っていたことに気づく。スノーシェルターといえば雪洞が真っ先に浮かんでくるがさすがにそこまでの積雪量はなくツェルトと雪を併用した形でのシェルターを実施することにする。雪の斜面を掘り、雪を固めて腰掛けられる部分を作り、足元は椅子に座ったようにリラックスした姿勢をとれるよう掘り下げる。掘り起こした雪は暴風壁として腰掛ける部分の前面に並べ置く。この状態からツェルトをお尻の下に敷き込むようにして腰掛けると非常に楽な体勢で風がもたらす寒さから身を守ることができる。冬場の強風下での休憩などには有効な手段である。受講者も意外に暖かさを感じられることに驚いた風であった。

 一通りカリキュラムをこなしたことで残すは赤坂山登頂だけとなる。A班はひと足先に山頂へ向かい、B班も少し遅れて山頂へ向けてツボ足で歩行したが、男性受講者は結構な確率で踏み抜きに見舞われる。だがこれも雪山にはついて回ることであるから経験してもらうしかない。栗柄越を通過し鉄塔のところまで来たところで11:36の時刻を確認するが下山する時間を考えると山頂まで行くのは閉会式の遅れに通ずるとの思いからこの場で昼食を取り引き返すのが良策であると判断した。昼食は早速今しがた体得してもらったツェルトを用いての暴風シェルターのなかで取ってもらう。みなパンなどの簡易な食事をとってもらうと早速下山にかかることとした。

 下山時B班が武奈の木平の東屋まで来たところで山頂を踏んだ帰りのA班に抜かれてしまう。このあたり経験の差が如実に表れたところである。A班を20~30分待たせてB班もテント場に帰着する。最後はほぼ時間通りに閉会式を行い、雪上訓練を終了した。

inserted by FC2 system